企画を思いついたものの、承認される企画書の構成や書き方がわからず、作成が進まないと感じていませんか。
この記事では、通る企画書の基本構成から具体的な書き方の手順、そのまま使えるテンプレートや例文までを詳しく解説します。
読み終えれば、「通る企画書」の構成案が固まり、テンプレートを活用して実務レベルの資料を完成させられる状態になります。
※イベント企画書の基本構成と書き方については「イベント企画書の基本構成と書き方ポイント解説!全体像を把握して内容が伝わるコツ」で詳しく紹介しています。
企画書とは?役割と目的をわかりやすく解説
企画書とは、新しいアイデアや実行プランを具体化し、関係者から承認や協力を得るための公式な文書です。英語ではビジネスプロポーザルと呼ばれ、新規事業の立ち上げや業務改善などのプロジェクトを始動させる際に、内容を正確に共有する役割を担います。
最大の目的は、企画の必要性や収益性を論理的に示し、意思決定者が予算や人員の配分を合理的に判断できる材料を提供することにあります。口頭の説明や簡易的なメモでは見落とされがちな詳細も、企画書の体裁を整えることで重要性が伝わり、検討の場に乗りやすくなります。
また、プロジェクトのゴールや実行方法を明文化することで、関係者間の認識のずれを防ぎ、チーム全体を同じ方向へ導く羅針盤としても機能します。単なるアイデアの提示に留まらず、合意形成から実行までを円滑に進めるためのビジネスに欠かせないツールです。
企画書と提案書の違いを解説!目的と提出先に応じた使い分け
企画書と提案書は混同されがちですが、目的と提出先に明確な違いがあります。
企画書は主に、社内の課題解決や新規事業の立ち上げなど、新たな取り組みの承認を得るために作成される社内向けの文書です。一方、提案書は取引先やクライアントといった社外の関係者に対して、自社の製品やサービス導入を促す営業目的で作成されます。
さらに、これらと似た書類に計画書があります。企画書や提案書は「何をすべきか」というアイデアの合意を得るためのものであるのに対し、計画書との違いは、実行段階において「どのように進めるか」という具体的なスケジュールや手順を示す点にあります。相手が納得しやすい構成を心がけ、目的や提出先に応じて最適な書類を選択してください。
企画書の書き方・作り方を5ステップで解説
承認を得られる企画書は、論理的な流れに沿って作成することが不可欠です。実際の作成作業は、一般的に、目的の明確化から始まり、構成の決定、執筆、デザインの調整、最終確認といった流れで進められることが多いです。
企画書には文章主体のものやスライド形式など複数の形式があり、目的や読み手に合わせて適した形式を選ぶことが重要です。ここでは、企画書の作り方を5つのステップに分けて、具体的な手順を解説します。
ステップ1:企画の骨子を固めるための事前準備
企画書の作成に取り掛かる前に、まずは企画の骨子を固める事前準備を行います。
この段階で、企画の根幹となる目的やターゲットを明確にしておくことで、内容に一貫性が生まれ、手戻りを防ぐことができます。いきなりスライド作成に入るのではなく、まずはラフなメモ書きレベルで思考を整理することが、質の高い企画書への第一歩です。
企画の目的と達成したいゴールを明確にする
企画の目的を明確に定義します。「なぜこの企画を実行する必要があるのか」という根本的な問いに答える部分です。
例えば「売上の低迷」という課題に対し、「新規顧客層の開拓によって、半年後の月間売上120%を達成する」のように、現状の課題と、企画が成功した結果どうなっていたいか(ゴール)を具体的かつ定量的に設定します。
※イベントの目的設定方法については「イベントの目的とは?設定方法から社内・社外の具体例まで解説」で詳しく紹介しています。
誰に・何を伝えるかターゲットを具体的に設定する
企画書を承認する決裁者、つまり読み手(ターゲット)は誰なのかを具体的に設定します。
対象となる相手の役職、部署、知識レベル、関心事を考慮することで、伝えるべき情報の優先順位や説明の深度、使用する言葉が変わります。
例えば、経営層向けなら投資対効果を、現場の責任者向けなら具体的な実行計画や実現可能性を重点的に説明する必要があります。
ステップ2:企画書の基本構成8要素を理解する
事前準備で固めた骨子を、論理的な企画書に落とし込むために基本構成を理解します。
企画書には、どのような内容であっても含めるべき標準的な構成要素が存在します。これから紹介する8つの項目を網羅することで、読み手にとって理解しやすく、抜け漏れのない説得力のある企画書を作成できます。
要素1:表紙・タイトル
表紙には、企画書のタイトル、提出日、提出先、作成者(部署・氏名)を記載します。
タイトルは、企画内容のすべてを簡潔に、かつ魅力的に表現する重要な要素です。例えば、「〇〇に関する企画書」といった曖昧なものではなく、「若年層向け新サービス〇〇の事業化企画書」のように、何についての企画なのかが一目でわかる具体的な表現を心掛けます。
要素2:企画の要約(エグゼクティブサマリー)
エグゼクティブサマリーは、企画書全体の要点を1ページにまとめたものです。
忙しい決裁者が最初に目を通す部分であり、ここで興味を引けなければ続きを読むことなく却下される可能性もあります。企画の背景、目的、具体的な内容、必要な予算、期待される効果などを簡潔に記述し、全体像と結論が短時間で把握できるように作成する意識が重要です。
要素3:現状の分析と解決すべき課題
企画を提案するに至った背景や理由を、客観的なデータを用いて説明します。
市場の動向、競合の状況、自社の現状などを分析し、「だから今、この企画が必要なのだ」という必然性を示します。例えば、「市場調査データによると〇〇のニーズが高まっているが、当社の現状では対応できていない」といった形で、現状と理想のギャップ(課題)を明確に提示します。
要素4:企画の目的と達成後のゴール
事前準備で設定した企画の目的とゴールを改めて明記します。
現状分析で明らかになった課題を「どのように解決するのか」という方向性を示す部分です。企画のコンセプトを一言で表すキャッチコピーなどを添えるのも効果的です。例えば、「課題である〇〇を解決し、ゴールとして〇〇市場でシェアNo.1を獲得する」のように、目的とゴールを明確に関連付けて記述します。
要素5:企画内容と具体的な実施方法
企画の目的を達成するために、具体的に「何を」「どのように」実行するのかを詳細に説明します。新規事業であれば提供するサービス内容、イベント企画であれば開催概要やプログラムなど、企画内容を具体的に記述してください。
読み手が企画の全体像を具体的にイメージできるよう、可能な限り詳細な情報を提供することが求められます。もし複数の企画案や実施方法を比較する場合は、それぞれのメリット・デメリットを整理して示すことで、読み手が判断しやすくなります。
要素6:実行体制とスケジュール
企画を実行するための体制と、具体的なスケジュールを示します。
誰が責任者で、どの部署の誰が関わるのかといった実行体制を明確にし、各タスクの開始日と終了日を時系列で整理したスケジュールを提示します。これにより、企画の実現可能性が高いことをアピールし、関係者の役割分担を明確化できます。
※イベント運営については「イベント運営とは?成功へ導く基本フロー・マニュアル作成・収益化ノウハウとパートナー選びの極意」で詳しく紹介しています。
要素7:必要な予算と収支計画
企画の実行に必要な費用を算出し、具体的な予算の内訳を提示します。
人件費、開発費、広告宣伝費など、項目ごとにどれくらいのコストがかかるのかを詳細に記載します。同時に、その投資によってどれだけのリターン(売上や利益)が見込めるかを示す収支計画も重要です。費用対効果を明確にすることで、投資する価値のある企画だと判断してもらいやすくなります。
要素8:想定されるリスクと対策
企画を進める上で想定されるリスクや課題と、それらに対する具体的な対策を事前に示します。
例えば、「競合他社が類似サービスを開始するリスク」に対して、「独自の機能で差別化を図り、特許を出願する」といった対策をあらかじめ提示します。リスクを正直に開示し、対策を講じている姿勢を見せることで、計画の堅実性をアピールし、読み手に安心感を与えることができます。
ステップ3:説得力のある企画書を書くポイント
企画書の構成要素を埋めるだけでは、承認を得るには不十分です。読み手を納得させ、行動を促すためには、内容に説得力を持たせる必要があります。
ここでは、客観性、具体性、実現可能性の3つの観点から、わかりやすい企画書を作成するための書き方のポイントを解説します。
客観的なデータを活用して現状や課題を示す
企画の必要性を主張する際は、主観的な「〇〇だと思う」といった表現を避け、客観的なデータを根拠として提示します。
公的機関が発表している統計データ、市場調査会社のレポート、社内の売上データや顧客アンケートの結果などを活用し、「なぜこの企画が必要なのか」という理由を裏付けます。数値データを提示することで、現状分析や課題設定の説得力が飛躍的に高まります。
企画のメリットと目的・ゴールを具体的に伝える
この企画を実行することで、会社や部署にどのようなメリットがもたらされるのかを具体的に示します。
「売上が向上する」といった抽象的な表現ではなく、「導入後1年で売上が30%向上し、利益が500万円増加する見込み」のように、可能な限り定量的に伝えます。目的やゴールとメリットが明確に結びついていることで、読み手は投資価値を判断しやすくなります。
スケジュールや予算で実現可能性を示す
どんなに素晴らしいアイデアでも、実現できなければ意味がありません。非現実的な計画は承認の対象外となります。
タスクを細分化し、それぞれの期間を現実的に見積もったスケジュールを提示することが重要です。また、予算についても各項目の金額の根拠を明確にし、実現可能な範囲で計画されていることを示すことで、企画が「絵に描いた餅」ではないことを証明します。
ステップ4:わかりやすく見やすい企画書に仕上げる
企画書の内容が優れていても、読み手に伝わらなければ承認には至りません。特に忙しい決裁者は多くの資料に目を通すため、瞬時に内容を理解できる「わかりやすさ」と「見やすさ」が極めて重要です。
特にフォントの選択は、企画書の見やすさに大きく影響します。読み手や資料の用途に合わせて可読性の高いフォントを選ぶことが重要です。サイズや種類を適切に調整することで、格段に読みやすい資料に仕上がります。
図やグラフを活用して企画内容をわかりやすく伝える
文章だけで構成されたスライドは、読み手に負担をかけます。特に、数値データや複雑な関係性を示す場合は、図やグラフ、イラストなどを効果的に活用しましょう。
例えば、売上の推移は折れ線グラフ、構成比は円グラフで示すことで、視覚的に情報を伝え、直感的な理解を促します。
結論や要点が伝わる文章を意識する
わかりやすい文章の基本は、「結論から先に述べる」ことです。
各スライドの冒頭にそのページで最も伝えたいメッセージ(結論)を配置し、その後に理由や具体例を続ける「PREP法」を意識します。また、一文は短く簡潔に記述し、冗長な表現を避けることで、読み手の理解度を高めることができます。
専門用語を避け、読み手に合わせた言葉を使う
企画書の読み手が、必ずしもその分野の専門家であるとは限りません。初めてそのテーマに触れる人でも内容を理解できるよう、専門用語や業界用語、社内略語の使用は極力避けるべきです。やむを得ず使用する場合は、必ず注釈を加えるなどの配慮が必要です。
ステップ5:企画書を提出する前の最終チェック
企画書を書き終えたら、提出する前に必ず最終チェックを行います。
誤字脱字やデータの誤りといった単純なミスは、企画書全体の信頼性を損なう原因になります。また、内容に矛盾がないか、全体のストーリーが一貫しているかなど、客観的な視点で見直すことが重要です。
企画書のテンプレート・例文|Word・PowerPointで作る場合の見本
ここでは、特定のシーンで企画書を作成する際の構成例を例文とともに紹介します。
Wordは文章中心の詳細な説明に、PowerPointはプレゼンテーションを想定した視覚的な表現に適しています。状況に応じて、一部エクセルで作成したグラフや表を貼り付けるのも効果的です。
新規事業の企画書の構成例・例文
新規事業の企画では、市場の将来性や収益性を客観的データで示すことが重要です。
【構成例:AIを活用したオンライン学習プラットフォーム事業の企画書】
- エグゼクティブサマリー:事業概要、市場機会、目標、必要資源の要約
- 市場分析と事業機会:市場規模、成長率、競合分析、参入機会の特定
- 事業内容:提供するサービスの概要、特徴、ターゲット顧客
- マーケティング・営業戦略:ターゲットへのアプローチ方法、販売チャネル
- 収益モデル:マネタイズの方法(例:月額課金、成果報酬など)
- 実行計画:開発スケジュール、体制、3年後の目標(例文:会員数10万人、売上3億円)
- 収支計画:初期投資、売上予測、利益予測
- リスク分析:想定されるリスクと対応策
社内向け業務改善の企画書の構成例・例文
業務改善の企画では、現状の課題と改善後の効果(Before/After)を明確にすることがポイントです。
【構成例:RPA導入による請求業務の自動化に関する企画書】
- 現状の課題:月次請求書作成に毎月40時間の人件費が発生しており、手作業による入力ミスも散見される
- 企画の目的:業務効率化によるコスト削減とヒューマンエラーの防止
- 具体的な施策:RPAツールの導入と具体的な自動化フロー
- 期待される効果:月間作業時間を40時間→5時間に削減。年間約〇〇円のコスト削減効果
- スケジュール:ツール選定、開発、テスト、本稼働までの計画
- 必要な予算:RPAツールのライセンス費用、開発委託費用
イベント・プロモーション企画書の構成例・例文
イベントや広告などのプロモーション企画では、目的とターゲットを明確にし、具体的な集客方法やコンテンツを示す必要があります。
【構成例:新商品発売記念プロモーションイベント企画書】
- 表紙:「新商品〇〇発売記念プロモーションイベント企画書」
- 企画の目的とゴール:発売後1ヶ月での目標売上〇〇円達成に向けた認知度向上と初回購入促進
- ターゲット:20代女性、SNSの利用頻度が高い層
- イベント概要:開催日時、場所、コンセプト、主なコンテンツ(タレント起用、サンプリングなど)
- 集客計画:Web広告、SNSキャンペーン、インフルエンサー活用など
- 運営体制とスケジュール:準備から当日までのタスクと担当者
- 収支計画:会場費、人件費、広告費などの費用と、売上目標
※展示会企画のアイデアについては「展示会企画で目を引く面白いアイデア集」で詳しく紹介しています。
企画書作成に役立つフレームワーク3選
企画書を作成する際、フレームワークを活用することで、思考を整理し、分析の抜け漏れを防ぐことができます。
課題と自社の立ち位置を整理する「3C分析」
3C分析は、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの視点から現状を分析するフレームワークです。市場や顧客のニーズ、競合の戦略、自社の強み・弱みを客観的に把握し、「現状分析と課題」のパートで活用します。
強みと弱みを整理する「SWOT分析」
SWOT分析は、内部環境の「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」と、外部環境の「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4要素を整理し、自社の現状を多角的に分析するフレームワークです。
企画内容の抜け漏れを防ぐ「6W2H」
6W2Hは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)、Whom(だれに)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)、How much(いくらで)の8要素で情報を整理する思考の型です。
企画書作成にAI・ツールを活用する方法
企画書の作成を効率化するためのAIや便利なツールを活用することで、構成案の作成時間を短縮したり、デザイン性の高い資料を手軽に作ったりすることが可能です。
AIを活用して企画書の構成案を作成する
ChatGPTなどの生成AIは、企画書の構成案を作成する際に非常に役立ちます。「〇〇を目的とした新規事業の企画書の構成案を考えてください」と指示することで、基本要素のたたき台を瞬時に出力してくれます。
デザインツールを活用して見やすい企画書を作成する
Canvaなどのオンラインデザインツールには、ビジネスで活用できる企画書のテンプレートが豊富に用意されています。見やすいレイアウトが整っているため、直感的に伝わる資料を短時間で完成させることが可能です。
企画書の書き方でよくある疑問
Q. 企画書に必ず含めるべき基本構成は何ですか?
企画書には、背景、目的、内容、体制、予算といった項目を含めることが一般的です。これらの要素を網羅することで、説得力のある企画書を作成しやすくなります。
Q. 企画書の説得力を高めるにはどのようなデータが必要ですか?
公的機関の統計データ、信頼できる調査会社の市場調査レポート、自社の売上データや顧客アンケート結果など、客観的で第三者が確認できる数値データが有効です。
Q. 初心者でもわかりやすい企画書を作るコツはありますか?
「1スライド=1メッセージ」を徹底し、図やグラフを多用することです。全体を1枚に要約したエグゼクティブサマリーを冒頭に用意するのもおすすめです。
まとめ|企画書は目的と読み手を意識してわかりやすく作成しよう
通る企画書を作成するために最も重要なのは、「誰に(読み手)」「何を(目的)」を常に意識することです。基本の型を押さえつつ、客観的なデータとわかりやすい表現で企画の価値を伝えることが、承認への道を切り拓きます。
bravesoft株式会社 eventech本部 アカウントグロース事業部 営業部長
2018年、東京電機大学を卒業し新卒エンジニアとしてbravesoftに入社。入社3ヶ月でセールスに転身し、イベントDXプラットフォーム「eventos」の法人営業を担当。2019年に営業成績1位で社長賞を受賞し、2021年7月に当時最年少で部長に就任、パートナー事業の立ち上げを担う。2024年には社内年間MVPを獲得。現在は営業部長としてeventos営業全体を統括し、大規模展示会から企業カンファレンス、セミナーまで幅広いイベントのDXを支援している。
bravesoft株式会社 eventech本部 アカウントグロース事業部 マーケティング・インサイドセールスグループ
2006年に株式会社オーディオテクニカへ入社。18年間、コンシューマ営業・法人営業・新規開拓など、営業の現場を幅広く経験。2025年2月にbravesoft株式会社へ入社。現在はイベントマーケティングプラットフォーム「eventos」のマーケティング・インサイドセールスを担当し、イベントを活用したリード獲得や商談創出に取り組む。








