概要
2019年ラグビーW杯、2020年東京オリンピックと大きなスポーツイベントが日本で開催されることもあり、現在イベント市場への注目が高まっています。
今回は勢いを増しているイベント市場の市場規模や動向をデータとともにご紹介します。
 
2018 国内イベント消費規模推計
特徴
2018年は「ウィスキーフェスティバル東京2018年」などのイベントが開催されました。
2019年3月現在ではまだ2018年度の国内イベント消費規模推計は発表されてはいないものの、本年度もイベント消費額は着実に増加傾向にあることが推察されます。6年続いているイベント消費規模の拡大トレンドを2018年度も継承できるかは確かなことは言えませんが、イベント市場は今後も安泰なことは確かでしょう。特に近年増加中のスポーツイベントの伸びに期待が集まるところです。
ドローンイベントなどの新しい種類のイベントも広まりつつあります。今後はこうしたドローンイベントも注目を浴びてくることでしょう。新しいジャンルのイベントにも人々が関心を持つようになっているので意欲的なイベントを開催したい人にとっては良い環境が整ってきています。
また、今後はラグビーw杯や東京オリンピックなどが開催予定です。このため、これからはスポーツイベントもますます消費規模が増えていくことでしょう。実際、こうしたニーズを反映してスポーツイベントの開催予定数も増えています。これからイベントを企画するならばスポーツイベントを検討してみるのもおすすめです。
 
2017 国内イベント消費規模推計
特徴
当年度のイベント動向を日本イベント産業振興協会の統計データから考察しましょう。まず、2017年度のイベント消費額は16兆6490億円です。このイベント消費額にはイベント会場におけるチケット購入費や宿泊費、移動費などのイベントに関わる消費を全て含んだものです。これは6年連続の増加であり、近年のイベントブームがまだまだ衰えていないことがわかります。前年度比のイベント消費額は16兆円5314億円であり、1000億円以上も規模が大きくなっていることがわかります。伸び率は前年度ほどではないものの着実にイベント消費規模は増えています。
中でも当年度は興行イベントが人気でした。興行イベントは5兆6828億円もの売上を上げており前年度と比べて1.3倍も消費規模が大きくなりました。興行イベントは近年は特に人気がありましたが、当年度になってひときわ認知度が高まった印象があります。これには興行イベントならではの「イベントに積極的に関与できる」という参加感の高さが関係しているのかもしれません。また、興行イベントとともにライブイベントも伸び率が高まっています。
特にキーワードとなるのが「リアルパワー」です。イベントはインターネットなどとは違った人と人とのふれあいがリアルに楽しめるのが特徴。こうしたリアルパワーを活用したイベントが好調なことは理解しておくべきでしょう。例えば、ライブイベントなどがこのリアルパワーを活用したイベントに当たります。イベント参加者もイベント独自の体験や交流を求めていますから、イベントに参加することで体験できるこうした価値を追求してみるのもありです。
 
結論すると2017年度は前年度とともにイベント市場にとっては良い年でした。イベント規模も増えていますし、新しいジャンルのイベントも着実に進展しつつあります。今後はオリンピックなどの大型イベントが予定されているのでこうしたトレンドは強まることはあっても弱まることはないでしょう。
 
2016 国内イベント消費規模推計
特徴
この年度の動向を日本イベント産業振興協会が発行した報告書(http://www.jace.or.jp/archives/20170612/20170612.html)から考察してみましょう。まず、イベント消費規模は前年比で12.9%増となっておりイベント消費規模は着実に増えていることがわかります。国内のGDP伸び率と比較してもこの伸び率は顕著しておきたいところです。また、5年連続してイベント消費規模は増えていることもポイント。着実にイベントに参加する人は増えつつあります。イベント消費額は16兆円5314億円になっています。これは小規模業界の売上を遥かに上回るほどの規模でもあります。
カテゴリー毎の消費額も見てみましょう。まず最も多いのが会議イベントです。会議イベントは1兆9135億円となっており、確実に消費額が増えていることがわかります。続いて見本市及び展示会の1兆6106億円、文化イベントの2兆3329億円、スポーツイベントの2兆8468億円などが続きます。この数値から見てもわかるように会議イベントや見本市の割合がやはり高いです。特に見本市及び展示会はますますその規模が増えてきています。
また、2016年度はフェスティバル系のイベントの消費が少なくなっています。当年度以前は着実にフェスティバル系のイベントの消費額が多くなっていたこともありフェスティバル系イベントの今後が懸念されるところです。これはいろいろな原因がありますが、フェスティバル系イベントは十分に周知されたために新しく参加する人が少なくなっていることが関係しています。
また、フェスティバル系イベントと裏腹に好調なのがスポーツイベントです。スポーツイベントは確実に消費額が増えています。これはブラジルオリンピックの関係ももちろんあるでしょう。オリンピックの都市はこうしたスポーツイベントがやはり消費額が増えてきます。
 
結論としては2016年度は前年度の流れを引き継いだ非常に好調な年でした。確実に消費額も増えているだけでなくその伸び率も加速しつつあります。2016年度はリアルパワーを活用したイベントも数多く開催されたことも特徴になっています。
 
こうしたイベントの動向について十分に理解しておくことは大変大事です。イベントの動向を理解しておけばイベント開催時に大変役立ちます。
また、イベントの利用者の視点も調べてみると良いでしょう。今回紹介した統計内容からわかることは多いものの、どうしても統計だけ調べていると利用者の視点が見落としがちになります。イベントを利用した人が抱えている問題やイベントに期待することがわかればイベント立案時の参考になります。

リサーチに便利なツール
上記でイベント消費規模を調べたり、イベントのトレンドを調べたいならば下記のようなツールを使ってみると良いでしょう。うまくツールを使ってイベントのトレンドを掴めればより多くの人に来てもらえます。こうしたツールは「どのようなイベントにしたらいいかわからない」といったイベント企画者にもおすすめです。
 
keizaireport.com
経済レポートを幅広く扱ったのがこちらのサイトです。経済に関するレポートならばなんでもあるといっても過言ではありません。イベントに関するレポートも幅広く今後のイベント動向も推察できます。また、毎日いろいろなレポートが掲載されているのでいち早く最新情報が見つかることでしょう。手っ取り早くイベントの動向を推察したい場合にも使えます。しかし、レポートによっては検証が不十分なものもありますし、スポンサー付きのレポートなどもあります。このため、レポートを読む際にはどういった目的でレポートが書かれているのか注意して読むと良いでしょう。
 
CiNii
CiNiiは有名な論文検索サイトです。こちらは利用料無料で気軽に使えるところも利点でしょう。また、検索機能も強力でいろいろな論文情報も簡単にわかります。論文だけでなく図書館の本なども簡単に探せますし論文ダウンロードも可能です。こちらのサイトはkeizaireportよりも硬派な論文が多く、よりじっくり分析したい場合に打って付けです。掲載されている論文もかなり内容も幅広いですが、最新情報には欠けるのが玉に瑕です。いずれにしても学術的にイベント市場を考察したいならば欠かせないサイトであることは確かです。
 
今回は上記の2つのリサーチツールを紹介しました。どちらを使ったらよいかはケース・バイ・ケースですが、両者を使い分けてみるのも良いでしょう。いずれにしてもリサーチしたらそのままで終わりにしないでリサーチ結果を活かすことが大事です。例えば、「○分野の消費規模が増えている」ならばその分野のイベントを企画するといったようにです。
 
まとめ

今回はイベントの動向についてイベント消費額から推察しました。イベントを企画したいならば今回紹介したようなイベント動向はしっておくべきです。やはりトレンドに合ったイベントのほうが成功しやすくなってきます。特にこれからはスポーツイベントなどの伸びが期待されるのでこの点も熟知しておくと良いでしょう。
また、紹介したリサーチなども活用してみてください。こうしたリサーチツールがあれば独自の調査結果を基にイベントを立案することができます。
イベントの動向とともに他のイベントについても調べておくと良いでしょう。個別にイベントを調べることによって「イベント開催時にはココをこうしたらよい」といったような示唆も得られやすくなってきます。
いずれにしてもイベントをする際には準備やリサーチをしっかりしておきたいところ。イベントの成功はこうした準備やリサーチに関わってくるといっても過言ではありません。是非とも今回紹介したようなツールなどをうまく用いてイベントを成功に導いてみてください。
 
参考URL
http://www.jace.or.jp/archives/20180612/20180612.html
https://www.eventbiz.net/?p=58374
 
eventos_bnr