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今回のインタビューは、世界の福祉機器を一堂に集めたアジア最大規模の国際展示会「国際福祉機器展(H.C.R.:Home Care & Rehabilitation Equipment)」を展開する一般財団法人 保健福祉広報協会の大久保 潤一様にお話頂きました。

H.C.Rとeventosの関わりは長く、eventosが誕生した2015年のH.C.R.よりイベント公式アプリとしてeventosアプリを採択して頂いておりますが、2020年の開催においてはリアル開催断念を余儀なくされ、その中でeventos webを使用してウェビナー配信を行うオンラインイベントを実施するに至った背景並びに、今後の展望などを深くお話お聞かせ頂きました。

インタビュアー
広報担当 :高瀬

 

出展社・来場者・福祉業界の“三方よし”を目指して

高瀬「本日は宜しくお願い致します。まずは一般財団法人 保健福祉広報協会様はどのような事業をされているかをご紹介頂けますでしょうか」

大久保「我々は物や製品を作っている訳ではなく、福祉機器を使用して頂いているユーザーの方などに向けた発信をメインとしている団体となります。発信内容としては出版とイベント、セミナー、シンポジウム、そしてH.C.R.(Home Care & Rehabilitation Equipment:国際福祉機器展)の開催ですね」

高瀬「H.C.R.自体はどのような経緯でスタートしたのでしょうか」

大久保「1970年代に“介護職における腰痛などの職業病問題をどうにかしなければ”という所で、第1回目にあたる社会福祉施設の近代化機器展がスタートしました。その後は高齢者・障害者を取り巻くような国内・国際的なターニングポイントに併せて、少しずつ規模を拡大し、中身をブラッシュアップしてきました。そして1980年代に日本初の福祉機器の国際展示会を開催し、“国連・障害者の10年”最終年にあたる1992年(第19回)以降、国際展示会として定着しました。欧米で作られた先進的な機器を国内の福祉関係者などに紹介するようになり、そうして欧米の製品や開発哲学を伝えていく取り組みを開始しました」

高瀬「そのタイミングで海外からの製品を紹介するようになったのですね」

大久保「国際化にあたり、アメリカとデンマークにコーディネーターを置き、北米や北欧地域を中心とした製品を紹介することで、日本の製品のレベルアップにも貢献できたのではないかと考えております」

高瀬「H.C.R.は開催において売上目標数字などを掲げているのでしょうか」

大久保「公的な目的でスタートした背景もあり、明確な売上目標は持っておりませんが、多くの方にご来場頂く展示会にしたいと思っておりますので、来場者数は意識しております」

高瀬「なるほど、ちなみに出展社数などは意識しているのでしょうか」

大久保「多くの出展社様に出展頂ければ、より多くの商品が紹介されます。来場者様にとって、それは大きな魅力の一つになりますので、できるだけ多く出展して頂きたく考えております」

高瀬「H.C.R.の出展は非常にリーズナブルな価格であると聞いております」

大久保「料金は据え置き価格できておりました(笑)他社様に比べて安価になっているかもしれませんが、今後はWeb上での展示会など、H.C.R.に新しい要素が加わりますので、それにあわせて変化していくと思います」

高瀬「一般的なイベントとは違って、利益よりも出展社様や来場者様の満足度が重要視されるのですね」

大久保「仰る通りで、H.C.R.は出展社、来場者、そして我々福祉業界にとって“三方よし”でなければならないと思っております」

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リアル開催よりオンラインで多くの方にセミナーを視聴して頂けた

高瀬「そうした三方よしを意識していた“コロナ前”と、“コロナ後”のイベント開催を比較すると、どのような違いがありましたでしょうか」

大久保「コロナ以前には、“リード情報を出展社様に十分に渡せていない”という課題を感じておりました。リード情報を取得する際には、受付でのバーコード認証などで情報を蓄積する必要がありますが、そうすると高齢者の方や障害者の方にとって、入場手続きがどうしても煩雑になってしまい、不便さに繋がるという別の課題が生じてしまうので、そうした部分の最先端化に踏み込めなかった点はございます」

高瀬「確かに仰る通りですね。一方、今回の開催においてはオンライン化の移行に伴い、来場者様のリード情報は取得できたのではないでしょうか」

大久保「今回はオンライン展示会ではなくオンラインイベントで、あくまで本会が主催したウェビナーにおけるリード情報の取得となりましたので、取得できた情報を主催者として有効活用していきたいと考えております。その上で、今後オンライン展示会に移行した際には、そうした情報を出展社様へ提供していきたいですね」

高瀬「ちなみに今回、延期という判断ではなく、代替のイベントをオンラインで開催したのは、どのような経緯だったのでしょうか」

大久保「リアル開催ですと学生の方や障害者の方のご参加もありますし、H.C.R.でクラスター感染を発生させる訳にはもちろんいきませんので、リアル展示会の開催断念を4月末の段階で決定しました。とは言え、これまで最新の福祉機器情報を発信していたものをコロナで止めて良いのか、という話もございましたので“来場者層の方に新しい情報を届ける”という目的を実現する為、展示会ではなくオンラインイベント、ウェビナーの開催に行き着きました」

高瀬「オンライン化を行う際において、ご懸念などはありましたでしょうか」

大久保「今回コロナを迎えて、御社のようなイベントをITで支える、多くの企業様がオンラインイベントに向けたサービスを開始しましたが、正直どれを選んで良いのかわからない状況でした…それでも我々は2015年からeventosを使用していましたし、eventosアプリに加えてeventos webのお話も頂いておりましたので、アプリのバージョンアップを行いつつ、eventos webを使用する事で体裁は整うと思って決断しましたが、“正直我々のやりたいことが全てeventosで実現できるのか?”という事は不安に思っておりました」

高瀬「eventosはとりあえずはお役に立てたのでしょうか?(笑)」

大久保「初めて使うサービスで、スケジュールもタイトでしたし、思い返すと記憶が途切れ途切れの期間もあるのですが(笑)、予定していたタイミングで、ウェビナーの先行配信・本配信はしっかりできましたし、ウェビナーの視聴者数も取得できましたので、何とか乗り切ることができて良かったと思っております」

高瀬イベント全体のPVが80万強、UUが6.5万強、ウェビナーの新規会員登録1,000件位の成果でございましたが、数値としてはいかがでしょうか」

大久保「リアル開催時のセミナーにおいては延べ3,200人くらいの参加を得ているのですが、今回は4,000人以上の参加となり、例年より多くの方にご視聴頂く事ができました。その上で、遠方の方や、障害のある方など、従来からリアルイベントに参加する事ができなかった方に対して、これまでは出版物や事後レポートでしか情報提供できませんでしたが、そうした行きたいけど来られない方々に、事後ではなく、しっかりとリアルタイムでセミナーを届けることができた事に意味はあったと思っておりますし、その結果として、2021年は展示会としてハイブリッドで行う事も決定しましたので、その契機になったと思っております」

高瀬「反面、オンラインで行った際の反省点はどのような点がございますでしょうか」

大久保「時間がなかった点もありますが、まだeventosだけではなく他ツールと併用して使用しなければならなかった点などはございましたので、その辺がクリアできればもう少し工数を削減する事ができ、運用の負荷も軽くなるのにという思いはありますね」

高瀬「そこは我々も精進致します!」

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誰一人取り残すことの無く社会的役割を果たしていく

高瀬「その上で最後に、今後のH.C.R.の展望をお聞かせ頂けますでしょうか」

大久保「マクロで考えると2023年にH.C.R.は50周年を迎えるので、半世紀という一つの節目をどのように迎えるかが、ここ3年の課題と考えています。そして2023年は福祉用具法(福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律)ができて30年という節目でもございますので、福祉業界・福祉用具にとってターニングポイントとなる年ですので、そこに向けて何をできるかを考えていきたいと思っております。更には2030年のSDGs達成に寄与すべく、2020年に協会ロゴとスローガンを決めました。今後は、“誰一人取り残さない”という視点も持ちながら、社会的役割を果たしていきたいと思っております」

高瀬「ありがとうございます!ちなみに、ミクロな視点ではいかがでしょう?」

大久保「2021年からハイブリッドイベント展示会を実施する上で、リアルでは、お越し頂くあらゆる方に対してのバリアフリーなど、そうした点の改善を進めていきたいと考えております。オンラインに関しましては、距離や障害の壁を越えていくのはもちろんですが、視覚障害の方や聴覚障害の方など、そうした方々へのアクセシビリティも果たしていきたいと考えております。それには、2015年から運用しているH.C.R.公式アプリ、2016年にアプリと連携するようリプレースしたH.C.R. webサイト、そして今回利用したeventos WEB3つを有効に使っていきたいと思っておりますし、その相乗効果を意識していきたいと考えております ※1

高瀬「ありがとうございます!eventosはこうしたイベントのフィードバックを経て進化していくサービスとなっておりますので、フィードバックを参考とさせて頂きます」

大久保「私は2015年に本会に着任して、着任したてでeventosアプリに携わりましたので思い入れもございますので、ぜひ(笑)」

高瀬「営利法人ではない御社のような団体様に、こうしていち早く使って頂けたのは本当に凄く、ありがたいと我々も思っております」

大久保「当時は展示会イベントでアプリを使用していた主催者はほとんど無かったのですが、2014年までに収集した来場者アンケートなどでも、会場内を“もっと便利に、わかりやすくして欲しい”という声は挙がっていたので、スマートフォンの普及率も鑑みて、“アプリ”という選択をさせて頂きました。御社にはそこからWEBサイトなど色々と携わって頂きましたので、我々としてもご協力ができる事があればご協力させて頂きたいと思います」

高瀬「非常にありがたく思っておりますので、今後とも宜しくお願い致します!本日はありがとうございました!」

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※1
インタビューでは触れられませんでしたが、福祉機器WEB2020のLive!配信を行ったウェビナーにおいてLive!アンケートもご使用頂きました