概要
日本玩具協会が主催する「東京おもちゃショー」は、国内最大の玩具見本市ですが、「商談会」とともに「一般公開」を実施しています。特に「一般公開」は、イベント運営におけるさまざまな課題を抱えていました。その主なものは、一般公開来場者データの取得と管理、チケット販売複数ルートの一本化、公式サイトへのアクセス集中の軽減、そして入場オペレーションの効率化です。
顧客情報
会社名:一般社団法人 日本玩具協会
お客様名:徳永 享
業界:ホビー
導入製品/サービス:eventos
導入時期:2024/2〜2024/9
一般社団法人 日本玩具協会(The Japan Toy Association)は、優良な玩具の提供を通じて子ども達の夢と情操を育み、また、新しい生活文化の創造を目指して活動する業界団体です。主な活動として、ST基準・STマークによる玩具安全事業や、国際玩具見本市「東京おもちゃショー」の開催、視覚・聴覚に障害のある子供も遊べる「共遊玩具」などを推進しています。
協会は、玩具の製造・流通企業を会員として抱え、玩具市場の発展を促進しています。近時、少子化が急速に進む中でも、日本の玩具市場は成長を続けており、2023年度には売上が初めて1兆円を突破するなど、好調な市場状況が続いています。カードゲーム、ホビー製品、ぬいぐるみが特に人気で、子供だけでなく大人にも支持される「キダルト」商品やインバウンド需要が市場の成長を後押ししています。
導入前の課題についてお聞かせください。
①来場登録のデータ集積とその活用方法
商談会は事前登録制ですので来場者データは収集できていましたが、一般公開でも来場者データを集め、今後のイベント企画等に活かしていきたいと考えていました。

主に4つの大きな課題がありました。
②チケット販売に関する課題
複数のチケット販売ルートを使っていましたが、販売手数料が高く、システム面での運営も非常に煩雑でした。
③公式Webサイトのアクセス集中問題
イベント開催直前に公式Webサイトにアクセスが集中し、協会サーバーの負荷が大きくなり、メールの送受信が遅延したり、サイトにアクセスできないといった事態が発生していました。
④入退場の仕組みに関する課題
前年の入場券の発行は、QRコードを利用したシステムを使っていましたが、スマホ操作等に時間が掛かり、また、一部のQRリーダーで読み取りがうまくいかない事態が発生しました。その結果、入場待機列ができ入場に最長で2時間以上かかるといった事態が生じました。こうした課題を受け、入退場のオペレーションをよりスムーズで効率的なものに改善する必要があると感じていました。
それらの課題に対して、「eventos」を導入することになったきっかけを教えてください。
システム担当者として特に重要だったのは、協会サーバーの負担軽減とチケット販売のスムーズな運営です。見本市委員会から、bravesoftの「eventos」を検討中である旨の報告がありましたが、システム担当者としては、一つのサーバーで運営することに限界を感じていましたので、「eventos」はサーバーを二つに分けることができるというメリットがあり、また、他社と比較してツール自体が非常に柔軟であり、サポートも手厚かったことから提案に賛成しました。その後、再度、委員会で審議され正式に採用することになりました。
どのように「eventos」を活用しましたか?
まず、来場者データの集積については、「eventos」のツールにより、リアルタイムでデータベースに情報を保存することができました。また、メール配信機能を活用することで、来場者への連絡も効率的に行えるようになりました。チケット販売も、システムの簡便さと柔軟性が助けになり、窓口を1つに絞ることで手数料の削減と管理の負担軽減が実現しました。
サポートについてはどうでしたか?
サポートは非常に迅速でした。特に重要だったのは、導入準備の段階での細やかな対応です。環境設定の段階で急な要望にも対応していただき、非常に感謝しています。技術的な問題が発生した際も、夜間の対応を含め、即時に解決していただきました。
導入後の成果はどのようなものでしたか?

「eventos」を導入したことで、運営効率の向上やコスト削減、さらに来場者満足度の大幅な向上が実現しました。
業務効率の向上とコスト削減
一般公開の来場者数が前年より増加したにもかかわらず、入場オペレーションがスムーズになり、待機時間を大幅に短縮することができました。また、リアルタイムで来場者数の把握ができ、アンケート結果の集計なども可能になったことで、運営チームの対応が迅速化でき、報告等の業務にかかる労力も削減されました。
顧客満足度の向上
「東京おもちゃショー」全体の来場者数は、台風の影響があったにも関わらず、前年の68,597名から84,411名へと約23%増加しました。また「eventos」の会員登録数は約50,000件、アプリダウンロード数は約4,000件あり、これまで取得できていなかった一般公開来場者データを蓄積することが可能になりました。アンケート回答数も1,400件あり、来場者の意見を効率的に収集することができました。この結果は今後のサービス改善に役立てることができると思います。
さらに、会員データやアプリを通じて、一般公開来場者に向けた再訪アプローチも可能となり、マーケティング活動の基盤を構築できたことも大きな成果の一つです。2023年以前には取得が難しかった一般公開来場者情報をデータとして活用できるようになった点で、イベント運営における大きな進化が見られました。
今後の展開や課題についてお聞かせください
①イベント運営における課題の一つとして、進捗管理の効率化が挙げられます。
たとえば、「eventos」内でアカウントを持っている関係者の作業進捗を一元的に管理できる機能があれば、運営がよりスムーズになると感じています。
具体的には、Aさんが担当しているチケットでエラーが発生した場合、Aさんの対応状況や進捗がすぐに可視化されれば、エンジニアとの連携や問題解決にかかる時間を大幅に短縮できます。このような仕組みが整うことで、運営全体の効率化とトラブル対応の迅速化が期待できるのではないかと思います。
②出展関連の各種申込について、出展社様方への様式の送付、施工会社様や会場・各ステークホルダーへの連携・共有・取りまとめを事務局が行っていますが、人的・時間的な工数が多大なため、工数削減やヒューマンエラー防止のため業務のDX化が課題となっています。
様式一つ共有するにも、事務局はステークホルダーごとのバージョンをそろえる必要があり、さらに、各様式の提出状況や進捗状況を把握する必要があります。特に百数十社ある出展社の個々の申請内容を把握し、それらについて適切なタイミングで指示を出し連携する必要がありますが、現在は、進捗管理表や企業リストにコメント書込みをすることで対応しています。加えて、データのやり取りにはメールを利用しているため、担当者の負担が非常に大きくなっています。
これらの課題についてご相談したところ、イベント各様式の作業の進捗状況を可視化し、データの受渡し、施工業者・会場・出展社のそれぞれのタスク管理を一元的に行うことができる「出展ブースター」をご提案いただきました。
実機を確認させていただきましたが、その機能は「東京おもちゃショー」の業務内容に非常に適していると感じました。ぜひ事務局担当者や見本市委員会にご提案頂きたいと考えました。
